事業用不動産 農地法5条について|岐阜県

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農地法5条許可について所有権移転の仮登記がなされている案件につき調査をしましたので、今回は農地法5条許可について解説します。
農地法5条の許可は、農地を転用して宅地や工場用地、商業施設用地など、農地以外の用途に変更し、その用途に供するために売買・貸借・譲渡などの権利移動を行う場合に必要な許可です。以下に、具体的なケースや申請が必要となる状況について説明します。

農地法5条とは?
農地法5条は、農地や採草放牧地を農地以外の用途に転用し、その土地の所有権や賃借権などの権利を移動させる場合に適用されます。これには、次のような状況が該当します。

農地の転用と売買: 農地を宅地や商業用地に転用し、売買する場合
農地の転用と貸借: 農地を工場用地や駐車場などに転用し、貸し出す場合
農地の転用と譲渡: 農地を親族や他者に転用目的で譲渡する場合
許可は、農地がある地域を管轄する都道府県知事や農業委員会によって審査・判断されます。

農地法5条許可が必要となるケース
農地を宅地に転用して売却する場合 例:農家が所有している農地を宅地として開発する目的で、住宅用に不動産会社に売却する場合。転用と所有権の移動(売買)が同時に行われるため、農地法5条の許可が必要です。

農地を工場用地に転用して事業者に貸し出す場合 例:農地を工業団地として利用するために企業に貸し出す場合。農地を工場用地に転用するためには、農地法5条に基づく許可が求められます。これは、土地の用途変更と同時に賃借権の移動が伴うためです。

農地を駐車場に転用して第三者に利用させる場合 例:農地の一部を駐車場にして賃貸経営を行う場合、農地から駐車場への用途変更(転用)と賃借権の設定が同時に行われるため、農地法5条の許可が必要です。

農地を商業施設用地に転用して譲渡する場合 例:農地をショッピングモールや店舗用地に転用する目的で、商業施設の開発業者に譲渡する場合。転用の上で所有権を移動させることになるため、農地法5条の許可が必要となります。

許可が不要な場合
農地の転用のみで、権利移動が伴わない場合 農地を所有している人が、転用を行って自らその土地を利用する場合(たとえば、農地を自らの住宅地に変更する場合)は、農地法4条が適用され、農地法5条ではなくなります。4条許可は「転用のみ」を行う場合の手続きです。
許可を取得する際の注意点
転用目的が合理的であること 農地の転用には、地域の開発計画や農地保護の観点からの審査が行われます。無計画な転用や、農地の保護に反する開発は許可が下りにくいです。都市計画区域内の土地か、区域外の土地かによっても審査基準が異なります。

許可権者の確認 許可を出すのは通常、農地の所在する都道府県知事ですが、転用する土地の面積や位置によっては市町村農業委員会が審査する場合もあります。事前にどの機関に申請するかを確認しておくことが重要です。

申請に必要な書類

許可申請書(都道府県や農業委員会が定める様式)
土地の登記簿謄本や公図
転用計画書(転用後の土地利用計画を示す図面や説明書)
権利移動に関する契約書(売買契約書や賃貸契約書の写し)
地元の農業委員会の意見書(必要に応じて)
審査の時間 許可には数週間から数ヶ月の時間がかかることが一般的です。申請に不備があった場合や、追加の資料を求められることもあるため、余裕をもって手続きを進める必要があります。

農地法5条の許可取得後の義務
許可が下りた後も、土地の利用が計画通りに行われているかを定期的に報告する義務が発生することがあります。また、許可を得ずに不正に農地を転用した場合には、是正命令が出されることや、罰則が科される場合もあるため、適切な手続きを行うことが重要です。

まとめ 農地法5条の許可は、農地を農地以外の用途に転用し、さらにその転用に伴って売買や賃貸などの権利移動が発生する場合に必要となるものです。許可を得るには、転用目的や地域の開発計画に適合していることが求められ、転用後の土地利用も適切に行われることが期待されます。

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